住宅の「風と光の解析とデザイン」

日本の家は風通しが基本

日本の家は風通しが基本

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪え難き事なり」 鎌倉時代末期の吉田兼好による「徒然草」の一節は、日本の住宅のありようを端的に表現しています。 冬は着物を重ねて寒さをしのいだものと思いますが隙間風が多くて厳しいものだったと想像します。

 

 その厳しい寒さよりも夏の湿度の高い暑さは対処のしようが無く、風通しを確保して快適に過ごせるようにするべきだとの考えです。

 

 現代とは条件が異なりますがひとつの考え方として現代の住宅にも取り入れる必要があると思います。

 

 

高気密高断熱の家は保温性が高いがゆえに・・・

 現代の戸建て住宅は高気密高断熱が一般的で非常に性能が高くなっていますが反面、いったん室内に熱がこもるとなかなか抜けないという現象があります。昼の2時の熱が真夜中に室内に侵入する「熱の時間差」などがあり冷房に頼るケースが多いようです。

 

 冷房は吹き出し口から設定温度よりも低い気流が吹きだすため冷え性の方や体温調節機能が弱いお年寄りや幼児には寝冷えや夏風邪の原因になることがあります。熱容量が大きい素材で構成されている場合、冷房はかけ続けないとなかなか冷えません。また、室内の冷風と室外の熱風はバーターとなります。夏の暑いさなか室外機の熱風で思わずムッとした経験はありませんか?

 

 エアコンの排熱が都市部のヒートアイランド現象の大きな原因となっています。東京都心の熱が南西風で移動して熊谷や越谷などに流れ込み最高気温を記録したケースもあります。 都市部の熱は自動車の排ガス、ビルの空調の排熱、日射熱がビルの外壁や道路に蓄熱され陽が傾くとともに放出されます。

 

便利なものが様々な悪循環の要因になっています。生活の質を損なうことなく、より豊かなライフスタイルを描けるように、知恵を絞り自然の力を活用して生活ができるようにしませんか?

 

 ヒートアイランド現象と熊谷の最高気温の関係

気象庁のデータより:東京湾からの南西風によって湾岸部の熱が熊谷・越谷を経由して秩父に移動する様子を示したものです(2004.7.8)